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環境、働き方、格差、医療 コロナ後の社会を考えよう

ワクチンができれば解決か


 5月25日、緊急事態宣言が解除となり、新型コロナウイルス流行の第一波が収束したかに見えたのも束の間、早くも第二波の兆しが見え始めています。

 第一波の下、廃業が相次ぐなど、これまでに経済や社会が受けた被害は甚大です。

 来夏に延期された東京オリンピック・パラリンピックの開催も不透明です。「オリ・パラ開催はワクチン開発が前提」との意見も出ています。

 政府は6月1日、新型コロナウイルスワクチンの開発を加速化し、最終的には国民全員の接種を目指すプランを発表しました。

 しかし、ワクチンが完成すれば、すべて解決なのでしょうか。


より弱いものが犠牲になる構造


 今回のコロナ禍で明らかになったことは、こういった危機の際には、弱いもの、貧しいものが真っ先に被害を受けるということでした。

 例えば、緊急事態宣言下の外出自粛要請により、DVが急増しました。休業等による経営悪化によって、派遣社員などの非正規労働者が職を失っています。学校給食の休止は、生活困窮家庭の子どもの栄養状態に直結しました。

 日本では、市場原理を万能とする新自由主義的な政策が長年続いた結果、病院のベッド数削減や保健所の統廃合などが進みました。保健所がパンク状態になったことや、ICUが満床となり医療崩壊寸前に陥ったことによって、改めて日本の保健・医療の現状がここまでやせ細っていたのかと実感をしました。

 しかし、これらの問題は、コロナ禍以前から私たちの社会が抱えていたことです。それがコロナ禍によって一気に表面化したに過ぎません。

 そしてこれらの問題は、たとえワクチンが開発されてもなくなるわけではありません。


コロナ後の新しい社会を


 そもそも、新型コロナウイルスは、森林伐採をして奥地をどんどん開発していった結果、本来、人間が接触しないようなウィルスに感染し、世界的な流行となったと言われています。

人類が自然環境を破壊し、経済最優先の持続不可能な社会を作っていった結果が、今回のコロナ禍ではないでしょうか。

 であるならば、「アフターコロナ」や「ウィズコロナ」と呼ばれるコロナ後の社会とは、これらの教訓と向き合い、これまでの社会がないがしろにしてきた部分を改めながら作っていく持続可能な社会でなければならないはずです。

 ワクチンやリモート技術に守られながら、コロナ禍以前と変わらない社会をもう一度やり直すのではなく、持続可能な地球環境、使い捨てではない働き方、経済格差をなくし、命を守る手厚い保健医療のある社会に舵を切りなおす契機としましょう。






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